浅沼宏和ブログ

2020.07.08更新

以前、当社では通信講座会社のJTEXのために「ものづくり人のためのドラッカー」という通信講座のテキストを作成しました。

この講座はドラッカーの「テクノロジスト」という概念を現代風にアレンジしたものでした。そのポイントは、現代の多くのビジネスパーソンは、知識労働と肉体労働の両方を行っており、それぞれの生産性を高めていかなくてはならないというものでした。

一般的には知識労働者と肉体労働者は相容れないものとされています。しかし、ドラッカーはそのようには考えませんでした。例えば、外科医の仕事のうち、診察・診断は知識労働です。しかし、ドラッカーは手術を「高度な技能に基づいた肉体労働」だというのです。技術の一つ一つは極めて高度な医学に裏打ちされていますが、手順としては明確に定まっており、それを肉体の動作として行っているので「手術は肉体労働」だというわけです。

一般のビジネスパーソンの場合はどうでしょう。企画書を書くことは知識労働でしょう。新しいアイディアを考え、それをまとめるわけですから単なる作業とは違います。しかし、そのビジネスパーソンも定型的な仕事はたくさん行っているでしょう。書類を作ったり、上司の報告したりといったやるべきことが定まった仕事の方が多いかもしれません。こうしたビジネスパーソンの仕事ぶりを見て、ドラッカーは「テクノロジスト」と呼んだのです。

「テクノロジスト」という響きからエンジニア的な仕事にしか当てはまらないような気がしますが決してそんなことはありません。ビジネスパーソンのほとんどが実際に「テクノロジスト」として働いているのです。

ところで、「テクノロジスト」の二つのタイプの仕事、つまり知識労働と肉体労働では全く働き方が異なってきます。肉体労働は工場労働に代表される働き方です。決まった場所で、決まった時間働くタイプの労働になります。ところが知識労働はそうではありません。知識労働は働いた量に比例して成果が出るわけではありません。素晴らしい企画1本は、ダメな100本の企画に勝るのです。ですから、決まった時間だけ仕事をすればよいというわけにはいかないのです。

今年は新型コロナの影響で在宅での仕事を余儀なくされている人が多くなっています。「テレワーク」や「リモートワーク」が一気に広がったことで、働き方が大きく変わりつつあります。

「ハイブリッドワークライフ」とは、新型コロナ時代における新しいテクノロジストの働き方と私生活の関係を示すコンセプトです。当社では「ハイブリッドワークライフ」のコンセプトをブラッシュアップし、新しい時代の働き方を提示していきたいと考えています。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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