浅沼宏和ブログ

2020.12.14更新

ドラッカーは人には調整・判断・想像力という人的資源としての特徴があり、その能力に対する支配力を持っていると考えました。その上で、彼らの動機づけは福利厚生の充実などの従業員満足によっては十分引き出されないと指摘しました。組織の経営者は労働者の内発的動機づけに目を向けるべきだというのです。

従業員満足がもたらす行動は受動的・消極的なものです。「色々よくしてもらったから働かないといけないかな?」といった感じでしょうか。これに対して、自ら進んで行動することが真の意味でのモチベーションです。そして、ドラッカーはこうした自発的な行動に必要なのは満足ではなく「責任」なのだといいます。

ドラッカーは「働く人たちが責任を欲しようと欲しまいと関係ない。働く人たちに対しては責任を要求しなければならない。企業は仕事が立派に行われることを要求する」と主張します。では、労働者を責任ある存在にするにはどうしたらよいのでしょうか。

ドラッカーは労働者を責任ある存在にするために、①人の正しい配置 ②仕事への高い基準 ③自己管理のための情報 ④組織の方針決定への参画の機会、の四つが必要であると述べています。ドラッカーは経営者だけではなく、組織に関わる人すべてに責任を要求したのです。

このようにドラッカーは労働者の自発的行動をもたらすのは責任感であると考えました。そして、「責任は自由との関連で考えるべき」とも述べています。「自由」というとのびのびとストレスのない解放的な気分に浸れる状態と思われるかもしれません。しかし、自由にはいろいろな意味があります。ドラッカーは自由とは決して解放と同義ではなく、責任ある選択なのであると考えたのです。


ドラッカーのマネジメント論は最終的に成果を目指すものです。成果がなければ人は幸せになれないからです。組織が成果をあげ、それによってその成員が幸せになるのです。そのためには組織が成果をあげ、労働者も成果をあげなければなりません。その軸となるのが仕事に自発的に取り組む責任感、主体的な選択としての責任が求められるのです。

次回、主体的な行動と責任の関係についてさらに深堀しましょう。

 

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

  • 各種お問い合わせ
  • 053-473-4111