浅沼宏和ブログ

2021.02.10更新

 課題が「理想とのギャップ」であるのに対し、問題は「正常とのギャップ」です。つまり、正常であるもの、正しいものがわからなければ問題は見えないのです。

 わかりやすい例で言えば、仕事上の悩みなどは問題です。悩みがない状態が正常なのですから、悩みがあるという状態には問題があるのです。困っていることも同様です。逆に、顧客、上司、同僚などに迷惑をかけていることも問題です。他に迷惑をかけていることは意外に本人は気が付いていないものです。悩みや困りごとに比べると見つけにくいでしょう。

 組織であれば組織全体の方針・計画、自部署の方針・計画などからのズレも問題です。しかし、上位の方針・計画になるほど自分の仕事からは遠く感じるため、問題が生じていることには気づきにくくなります。また、過去の状況と比較することでも問題に気づきやすくなります。

 仕事において問題を発見するには基準や標準との比較が重要です。基準とは「正常の範囲を示す指標」です。標準とは「正しいとされるやり方」のことです。仕事において基準や標準が適切に定められていなければ問題は見つけにくくなります。

 その他、各人が普段から気を付けていることも基準や標準の役割を果たします。例えば、同じ職種の人を集めて、10分から15分ぐらいの時間を与え、「仕事で気を付けていることをできるだけたくさん書きだしてください」とお願いすると、仕事のできる人ほどたくさん書きだせるものです。普段から意識的に気を付けていることが多いのでたくさん書きだせるのです。成果のあがらない人ほど書き出せないものなのです。

 問題とは比較的明確な仕事の目的になります。知識労働者は自ら仕事の目的を設定しなければなりません。問題を見つけることはその必須の能力なのです。しかし、こうした能力は先天的な才能とはあまり関係ありません。仕事を通じて、具体的な基準や標準を身につけていくことで問題発見力が高まるのです。

 自分で問題を見つける力は知識労働者に欠かせない能力なのです。
 

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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