浅沼宏和ブログ

2021.03.02更新

組織が成果をあげるには共通の目標が必要です。そして、すべての人の仕事がその共通の目標に向けて行われなければなりません。各人に期待される役割、責任、成果は共通の目標に基づいて決まります。これが大原則です。

ですから、組織人は事業の目標を理解し、それを自分の仕事に関連付けなければなりません。したがって、組織人が成果をあげるとは共通の目標への貢献として行われなければなりません。したがって、成果をあげることと貢献することは同じことになるのです。組織に属していない人の場合には、その目標は社会に置かれることになります。社会に貢献することで成果を最大化するのです。

しかし、組織の人々が仕事のベクトルをすり合わせることはとても難しいのです。なぜなら、それぞれが異なる専門領域で働いていますし、物の見方もそれぞれだからです。行動のベクトルを合わせるには、それぞれが互いの役割を理解し、物の見方をすり合わせなければなりません。組織におけるコミュニケーションの目的はここにあるのです。

ドラッカーはよく「三人の石工」のエピソードを用いて共通の目標の重要性を説明しています。一人目の石工は、生活の糧として働く、二人目は国一番の仕事を目指す、そして三人目は「大聖堂を建てる」ことを目指している。この「大聖堂を建てる」ことが共通の目標というわけです。あらゆる仕事はこの目標に照らして組み立てられるのです。二番目の石工のように一流の仕事をしたとしても、他の人の仕事とベクトルがあっていなければその仕事は無価値なのです。それを「仕事の自己目的化」といいます。

大きな組織では「仕事の自己目的化」がよく起きます。それは、「意味は分からないけれど、やらなければいけないと決まっている仕事」です。そうした組織では間違った物の見方が共有されたまま、疑われることがないのです。この状態では適切なコミュニケーションが成立していません。そのカギを握るのが共通の目標なのです。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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