浅沼宏和ブログ

2021.07.07更新

ハイブリッドワークライフは、ワークライフバランス、ワークライフインテグレーションを意識したコンセプトです。

ワークライフバランスは、いわゆる「9時から5時まで」の働き方を前提としています。タイムカードで勤怠管理する仕事は、量によって成果を図るタイプの仕事になります。肉体労働、マニュアルワークはこうした仕事になります。ワークライフバランスは、こうした仕事の過重労働を防ぐコンセプトです。労務管理のコンプライアンスの視点が色濃く出ています。

ワークライフインテグレーションは、知識労働に当てはまる働き方です。知識労働では、量ではなく、質がポイントになります。どんなに仕事量をこなしても、質が悪ければ評価は低くなります。100本の平凡な企画は1本の優れた企画にはかないません。ワークライフインテグレーションは、こうした知識労働者に自己管理型の仕事を行ってもらうためのコンセプトです。オンライン環境での仕事、ジョブ型の仕事、は知識労働に向いています。高度な知識労働者にできるだけ働きやすい環境を提供するという考え方です。

ワークライフバランス、ワークライフインテグレーションは、どちらも企業の労務管理上の視点に立つコンセプトです。ワークライフバランスは、肉体労働・マニュアルワーク向けで、ワークライフインテグレーションは知識労働に向いています。ワークライフインテグレーションを徹底すると、企業と知識労働者の関係は対等に近づきます。企業は高度な知識労働者なしに成果をあげられません。一方、知識労働者も企業を介して大きな成果をあげます。お互い持ちつ持たれつなのです。しかし、「企業は社員より上の立場」という従来の無意識の偏見はなかなか解消されません。ワークライフインテグレーションを実践するには企業の側にも、強い心構えが必要です。

ハイブリッドワークライフはワークライフインテグレーションに似ています。どちらもプライベートと仕事を区別しないからです。しかし、大きな違いがあります。ワークライフインテグレーションは企業が主体であるのに対し、ハイブリッドワークライフは働く人が主体なのです。なぜなら、主体的な働き方は働き手自らが選択必要があり、企業が意図的に仕向けることには限界があるからです。特に、難易度の高い仕事に就いては、自ら選んで行動しなければモチベーションは高まらないことが分かっているのです。

ハイブリッドワークライフは、必ずしも企業内で働くことを想定していません。企業内で働いても、副業であっても、一時、育児や介護で仕事を離れても、「自ら考え、行動することでしか自分の人生の幸せは実現できない」と考えるのです。もちろん、企業で働く場合には、ワークライフインテグレーションとは一枚のコインの表と裏のような関係になります。企業と働く人がそれぞれ主体性を持たなければ、新しい働き方は実現できないのです。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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