ワークライフインテグレーションは、2008年の経済同友会のレポートで提起されたコンセプトです。ワークライフバランスのようにオンとオフを分ける考え方はもう古いという発想が原点です。
ワークライフバランスは工場労働のように、みんなが集まり、量で測定できる仕事に向きます。タイムカードで打刻する理由は2倍働けば、2倍価値のある結果が出るはずだからです。
しかし、知識労働はそうはいきません。良いアイディアは、その人がそれまで培ってきたスキル・経験などの総合力で生まれます。10分でまとめたアイディアが世界を変えることもあるのです。こうした労働は、投入した時間ではなく「成果」で判断されます。
成果で測定すればよいということは、タイムカードで管理する必要はないということです。現在、「ジョブ型」といわれる労働形態に注目が集まっていますが、似たような論理が背景にあります。
リモートワーク、ワーケーションのような働き方は知識労働に向いています。時間管理ではなく、成果管理であれば、オンライン環境があれば十分なことも多いからです。ワークライフインテグレーションは、知識労働には、仕事とプライベートのバランスを自己管理で行うべきという考え方があります。企業の側はそれを整えるけれど、働き手は見合った成果をあげるように努力するということです。
ハイブリッドワークライフは、ワークライフインテグレーションとかなり似た考え方ですが、決定的に違うのは、働く人自身の目線のコンセプトだということです。
企業が主導するのではなく、「自分の人生を豊かにするには、自分で考え、行動し、成果をあげることが必要だ」という、いわば当たり前の話を働き方の中で位置づけただけのコンセプトなのです。
ハイブリッドワークライフとワークライフインテグレーションの考え方は、一枚のコインの裏表の関係という側面があります。