2024.04.15更新

 産業のソフト化が進む中で製造業のノウハウにあまり関心が集まらなくなったように思います。しかし、トヨタ生産方式は製造現場のみならず、サービス業やホワイトカラーの仕事にも適用されるようになっています。そこで、改めてトヨタ生産方式の強みについて整理したいと思います。

 トヨタ生産方式を一言でまとめると「ムリ・ムラ・ムダ」の排除です。そして、最も基本となるのがムダをなくすことです。トヨタではムダには次の 7 種類があるとされています。

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 これらは製造業のみならず、あらゆる業種の現場でのムダを考えるうえで大切です。7つもあると覚えるのは大変ですが、それぞれの頭文字を並べると「か(加工)・ざ(在庫)・つ(作りすぎ)・て(手待ち)・ど(動作)・う(運搬)・ふ(不良)」、つまり『飾って豆腐』となりますから、ぐっと覚えやすいでしょう。

 では、7つあるムダのうちで最大のムダは何でしょうか?この質問をすると、「不良」か「在庫」というお答えが多くあります。現場の方たちにとって最も目につきやすいムダがこの二つなのだということかもしれません。しかし、根本的な問題となるのは「作りすぎ」のムダなのです。

 「作りすぎ」とはせっかく作ったものが売れていない状態です。売れていなければ成果はありません。しかも、作り終えるまでに多くの資源・努力がつぎ込まれています。これらのすべてが価値を生んでいない状態こそが「作りすぎ」なのです。ですから、トヨタは「売れた分だけ作る」という考え方を徹底しているのです。

 また、「作りすぎ」では加工、在庫、運搬のムダが生じます。売れない分を加工、在庫、運搬したことになるからです。しかも、見かけ上は忙しいため、本来、手待ちである状態も隠されてしまいます。いらないもの、成果にならない仕事をすることほどムダなことはありません。

 この考え方は、新製品開発にも当てはまります。「こんな製品を出せばきっと売れるはずだ」と考え、大量に生産し大々的に売り出したものが全く売れないことはよくありますが、これも「作りすぎ」のムダの一種と考えられます。ドラッカーは、それを「間違った仕事を見事にやり遂げる」と表現しています。

 7 つのムダ、特に作りすぎのムダの視点は、仕事の成果が何かを問う姿勢です。仕事は常に最終的な成果に結びつけて行うべきなのです。

 

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投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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