浅沼宏和ブログ

2020.04.29更新

新型コロナの流行のインパクトは歴史的なものとなっています。人との直接的な接触が制限され、仕事のみならずライフスタイルにも大きな影響が出てきています。おそらく、新型コロナが収まった後も、その影響は続いていくでしょう。私たちは新しいライフスタイルを模索する必要があるのです。

しかし、ライフスタイルを変える必要性は新型コロナが流行する前から広がり始めていました。リンダ・グラットンの『ライフシフト』によって「人生100年時代」を見据えた働き方、生き方を模索する必要がでていたのです。それが、新型コロナの影響によって一気に加速することになりました。

当社はドラッカー経営を実践する立場として、こうした新しい時代における新しい働き方、ライフスタイルをドラッカーの視点で考え直さなければと思っています。「今、ドラッカーが生きていたらどのような提案をするだろうか」といった問題意識で、新しい働き方のコンセプトを考えたいと思っています。

今年は、あらゆる企業、組織、人が積極的な打ち手を出せない年になっています。しかし、こうした年であるからこそ、深く考え、次の行動のために準備しなければなりません。当社は、今年を「ドラッカー経営を刷新する年」と位置付け、これまでの当社の提起したコンセプトを見直し、新しいコンセプトを提案してまいりたいと考えております。

皆様にも新しいアイディアについてご意見を頂くこともあるかと思いますが、その節はよろしくお願いいたします。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

2020.04.27更新

2020年は“新型コロナウィルス”という歴史的なパンデミック(世界的大流行)に見舞われた大変な年になりました。想定外の事態で世界中が大混乱に陥っており、これから正常化に向けた長い取り組みが始まろうとしています。ある経済団体のリーダーが今回の事態を受けて「中小企業はBCP(事業継続計画)の策定が立ち遅れている」と苦言を呈していましたが、疫病を念頭に置いたBCPを策定している企業は日本にほぼなかったと思います。そこで、リスクと不確実性という言葉を深堀して、「まさか」の事態にどう対処するかの手掛かりを探りたいと思います。

長い間、ビジネスの世界でリスクマネジメントとは「保険に入ること」を意味していました。しかし、20世紀後半になってさまざまな金融商品が登場し、金融市場が実体経済よりも巨大な存在になってくるとリスクの意味が変わっていきました。金融商品は高度な統計学、ファイナンス理論に基づいて設計されます。そのポイントとなるのは損害の発生可能性とその影響度です。この二つを具体的な数字に落とし込んで金融商品が作られるのです。つまり、金融業界におけるリスクとは数値化された損害の可能性とその大きさなのです。

金融市場が大きく発展したのは1980年代以降です。緻密なリスク計算によって設計された金融商品を取り扱うのですから、リスクは適切にコントロールされるはずでした。ところが、金融市場はほぼ10年ごとに「想定外」の大事態の発生によって翻弄されてきたのです。たとえば、1987年に起きた“ブラック・マンデー(暗黒の月曜日)”による株式市場の大暴落は統計的には宇宙の歴史を何度か繰り返して、やっと一回起きるかどうかという“ありえない”ほど低い確率の出来事でした。そのわずか10年後の1997年には“アジア通貨危機”が起き、ファイナンス理論のノーベル経済学賞受賞者が経営するヘッジファンド・LTCMが“ありえない”市場の動きによって破綻(1998年)してしまいました。さらに、その10年後の2007年には“ありえない”の金融恐慌が起き、2008年のリーマン・ショックにつながったのです。

金融業界がこうした“ありえない”事態にたびたび翻弄されてきたのには理由があります。金融業界では起きそうなことの99%をカバーすること、つまり確率的に“ありそうな”事態を念頭においてビジネス・モデルを作っているのです。滅多に起きそうもないことを想定していては日常の仕事が回らないからです。しかし、こうした経験から「滅多に起きないけれど、もし、起きたら困る」という事態を想定しなければいけないと考えるようになったのです。滅多に起きないことは、意外とよく起きることがわかってきたからです。そこで、2008年以降、特に重視されるようになったのが、「滅多に起きないけれど、たまに起きそうなこと」を想定して、その場合の損害を計算し、それを軽減することが重視されるようになったのです。そのための方法をストレス・テストといいます。

ストレス・テストは「いつかやってくるかもしれないがいつ来るかわからない」事態に備えるための方法です。いつやってくるかわからない事態なので発生確率はわかりません。つまり、数値化できないのです。このように数値化できない危険を「不確実性」といいます。そうした大変な事態になった場合、どんな損害が出そうか、もしそうならどんな対策を立てるべきかを考えるための手段がストレス・テストなのです。大地震、大きな台風、戦争・紛争、疫病などはいつ起きるかはわかりません。しかし、そうした事態を想定して、「もし、そうなったらどうするか」を普段から考えておくことも大切なのです。世の中には確率は分からないかれど、いつか必ず起きる大変なことがたくさんあるのです。

投稿者: 株式会社TMAコンサルティング

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